今回のテーマは、米国株必修科目5つ目「DIA」を取り上げていきます。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- DIAはダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価で構成されているETF。
- 右肩上がり成長を続けてきた実績あり。
- デメリットもある。
- DIAを使ったポートフォリオ例もあるよ。
DIAって何?
まずはDIAの特徴を見ていきます。
DIA(ダイアモンド)は、ダウ・ジョーンズ・インダストリアル・エクスチェンジトレード・ファンド(Diamonds Trust, Series 1)の略称で、アメリカ合衆国の上場投資信託(ETF)です。
DIAの運用会社はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズです。ファンド名の「SPDR(スパイダー」は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが運用するETFのブランド名です。
このETFは、ダウ・ジョーンズ・インダストリアル・アベレージ(通称:ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価)に連動する投資成果を目指します。ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価は、アメリカを代表する30銘柄(通称:ブルーチップ)から成り立っており、堅実な投資を求める投資家に適した選択肢となります。
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社により選出されますが、構成銘柄の30銘柄は時代の流れに合わせて入れ替えが行われます。最近の例でいうと、2020年8月にエクソンモービルやファイザーの代わりにセールスフォース・ドットコムやアムジェンが組み入れられています。特2015年3月にAT&Tがアップルに入れ替えられた際は、市場関係者の注目を集めました。
DIAの基礎情報は次のとおりです。
ティッカー | DIA |
名称 | SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust |
運用会社 | State Street Global Advisors(SSGA) |
ベンチマーク | Dow Jones Industrial Average |
市場 | NYSE ARCA |
経費率 | 0.16% |
構成銘柄数 | 30 |
DIAの主要構成銘柄は次のとおりです。
米国を代表する大企業のみが軒を連ね、幅広いセクターに分布しているしていることがわかります。セクターの分散が効いているため、QQQに比べると値動きはマイルドになる傾向があります。
ティッカー | 会社名 | 構成比率 |
UNH | UnitedHealth Group Incorporated(ユナイテッドヘルス) | 10.19% |
MSFT | Microsoft Corp.(マイクロソフト) | 7.03% |
GS | Goldman Sachs Group Inc.(ゴールドマンサックス) | 6.31% |
HD | Home Depot Inc.(ホームデポ) | 5.78% |
MCD | McDonald’s Corporation(マクドナルド) | 5.26% |
AMGN | Amgen Inc.(アムジェン) | 4.94% |
V | Visa Inc. Class A(ビザA) | 4.73% |
CAT | Caterpillar Inc.(キャタピラー) | 4.61% |
CRM | Salesforce Inc.(セールスフォース) | 4.18% |
BA | Boeing Company(ボーイング) | 4.10% |
※2023年11月24日時点の情報。
※ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社公式HP参照。
セクター比率では金融・ヘルスケア・情報技術・資本財・一般消費財が上位を占めています。
業種 | 組入比率 |
金融 | 20.28% |
ヘルスケア | 19.87% |
情報技術 | 19.35% |
資本財・サービス | 14.09% |
一般消費財・サービス | 13.05% |
生活必需品 | 7.20% |
エネルギー | 2.70% |
コミュニケーション・サービス | 2.49% |
素材 | 0.96% |
※2023年11月24日時点の情報となります。
※ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社公式HP参照。
DIAのパフォーマンスは?
DIAの設定日(1998年1月14日)以来チャートを見てみましょう。ご覧の通り、右肩上がりで成長していることがわかります。各種ショック時(コロナショック等)にはガクンと下げていますが、大企業の力を活かし、株価が回復しています。米国の大企業が発揮する安定感が大きな魅力と言えます。
DIAのメリット
DIAのそれぞれメリットを見ていきましょう。後ほどデメリットも記載しますが、そのデメリットを上回るメリットがありますので、堅実な投資を目指す方には自信をもっておススメできます。
- 長期的に成長が期待できる
- 低コストでダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価を構成する超優良大型株に分散投資をすることができる
- 毎月配当がある
1.長期的に成長が期待できる
長期的に成長が期待できるDIAは近年、パフォーマンスが非常に高く、価格は設定以来、およそ5倍となっており、リターンが十分に出ています。
2.低コストでダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価を構成する超優良大型株に投資をすることができる
米国株の中でも厳選された超優良企業30社で構成されたDIAはVOOやVTI、QQQと比べ非常にシンプルです。構成銘柄の内容まで理解した上で投資をすると、暴落イベントが起きても自信を持ってホールドすることができます。
経費率は0.16%であり、長期投資に向いていることもあげられます。投資信託やETFは保有時にコストがかかるため、長期投資する場合、できるだけコストが低いものを選ぶようにしましょう。
3.毎月配当がある
四半期ごとの配当を出すETFが多い中、DIAは毎月配当を出します。個人的には毎月配当があると嬉しいのでホールド力を高める刺激になると思っています。
以上のメリットによりDIAは多数の投資家に支持されています。
DIAのデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 構成銘柄が30と少ないため分散投資のメリットを感じにくい
- コストが若干高い
- 分配金の再投資が面倒
- 二重課税される。それを取り返すのが面倒
1.構成銘柄が30と少ないため分散投資のメリットを感じにくい
DIAと比較されることが多いETFとしてVOOがあります。VOOはSP500の約500銘柄で構成されており、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価の30銘柄と比較すると構成銘柄が少なく感じてしまうと思います。
構成銘柄数が少ない場合、個別企業の影響を受けやすくなり、訴訟や事件等の株価が大きく下落するイベントが発生した際にはその影響が大きく出てしまいます。
2.コストが若干高い
VOOの経費率が0.03%であるのに比べ、DIAは0.16%となっているため、コストが高いと感じてしまいます。
ただし、VOOやVTIの経費率が安すぎるほぼ反則のような商品であるため、その他ETFと比べると経費率0.16%は十分低い水準であると言えます。あくまでVOOという業界最安値水準のETFと比べた場合のデメリットになります。
3.分配金の再投資が手間
長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。DIAから毎月支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がDIAの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。
4.二重課税される。それを取り返すのが面倒
DIAは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。
以上が、DIAのデメリットとなります。
まとめ
- DIAはダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価で構成されているETF。
- DIAには他の銘柄に負けないメリットがある。
- デメリットもある。
DIAを使ったポートフォリオ例
最後に、DIAを使った投資の一例を紹介していきます。
基本のダウ100%ポートフォリオ
特徴:ダウ・ジョーンズ30種平均に完全に連動する基本的なポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 100 |
セクターバランスダウポートフォリオ
特徴:主要なセクターにバランスよく投資。
構成ETF | 比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 40 |
XLK(Technology Select Sector SPDR Fund) | 20 |
XLF(Financial Select Sector SPDR Fund) | 20 |
XLY(Consumer Discretionary Select Sector SPDR Fund) | 20 |
ダウ30コアポートフォリオ
特徴:ダウ30銘柄に主に焦点を当てつつ、全体の市場にも分散投資。
構成ETF | 比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 40 |
VTI(Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF) | 20 |
VT(Vanguard Total World Stock Index Fund ETF) | 20 |
QQQ (Invesco QQQ Trust Series 1) | 20 |
高配当ダウ30ポートフォリオ
特徴:ダウ30をコアに高い配当を提供する銘柄にも重点投資。
構成ETF | 比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 60 |
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) | 20 |
VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF) | 20 |
成長重視ダウ30ポートフォリオ
特徴:ダウ30をコアに成長が期待される銘柄にも重点投資。
構成ETF | 構成比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 50 |
VUG(Vanguard Growth Index Fund ETF) | 20 |
IWF(iShares Russell 1000 Growth ETF) | 15 |
ARKK(ARK Innovation ETF) | 15 |
低ボラティリティダウ30ポートフォリオ
特徴:ダウ30をコアに低ボラティリティ銘柄に重点を置いたポートフォリオ。
構成ETF | 構成比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 40 |
SPLV(Invesco S&P 500 Low Volatility ETF) | 30 |
USMV(iShares MSCI USA Min Vol Factor ETF) | 30 |
ESGダウ30ポートフォリオ
特徴:ダウ30をコアに環境、社会、ガバナンスの観点から選ばれた企業に投資するESGポートフォリオ。
構成ETF | 構成比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 70 |
SUSA(iShares MSCI USA ESG Select ETF) | 15 |
ESGU(iShares ESG Aware MSCI USA ETF) | 15 |
リタイアメントダウ30ポートフォリオ
特徴:ダウ30をコアに株式と債券、米国全体に分散したリタイアメント向けのポートフォリオ。
構成ETF | 構成比率(%) |
DIA (SPDR Dow Jones Industrial Average ETF Trust) | 40 |
BND(Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 40 |
VTI(Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF) | 20 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えませんが、株初心者なら、持ってるだけでプロに勝てる可能性があり、維持が楽チンで、積立てるだけで良いDIA等のインデックス銘柄のみでで良いと感じます。
以上がDIAの紹介となります。次回もお付き合いいただけますと幸いです。