今回は生活必需品セクターETF「VDC」を取り上げていきます。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- VDCはMSCI USA Consumer Staples IMI 25/50 Index(MSCI USインベスタブル・マーケット生活必需品25/50インデックス)に連動するように設計されているETF。
- デメリットもある。
- VDCを使ったポートフォリオ例もあるよ。
Vanguard社って何?
Vanguard社は「資産運用会社は投資家の皆さまの利益のためだけにファンドを運用すべきである」というアイデアに基づき設立された、世界最大級の運用会社です。
Vanguard社創設者ジョン・ボーグル氏は世界初個人向けインデックス・ファンドを設立した「インデックス・ファンドの父」として広く知られ、資産運用業界に最も貢献した人物の一人として、世界中の多くの投資家から尊敬されています。
Vanguard社が提供するETFに見られる共通点は「低コスト」です。
VOOやVTIの経費率は0.03%、VTの経費率は0.07%と驚異の低コストを実現させています。
この低コスト商品ですが、ヴァンガード社の以下の理念に基づいています。
- 目標:明確で適切な投資目標を定める
- バランス:バランスの取れた分散投資を行う
- コスト:コストを最小限にとどめる
- 規律:長期的な見通しや規律を維持する
以上の点からVanguard社が提供するETFは多くの投資家に利益をもたらし、支持を集めています。ついてはVanguard社のETFを知ることは皆さまの今後の利益になると考え、紹介していく次第となります。
VDCって何?
まずはVDCの特徴を見ていきます。
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF)とは、Vanguard社が提供している「上場投資信託(ETF)」の一種です。
VDCは「MSCI USA Consumer Staples IMI 25/50 Index」に連動するように設計されているETFで、2004年1月30日に設定されました。
「米国株の中でも生活必需品セクターに投資するETF」になります。
米国の世界産業分類基準(GICS®)の消費財セクターに分類される銘柄で構成され、大型・中型・小型株を含み、生活必需品セクターを幅広くカバーしています。
VDCは年4回の決算(3月・6月・9月・12月)において分配金が支払われます。
利回りはおよそ2.50%です。
生活必需品セクターのディフェンシブ銘柄で構成されているため、ボラティリティが低く、配当は多めです。
VGTの基礎情報は次のとおりです。
ティッカー | VDC |
名称 | Vanguard Consumer Staples ETF |
運用会社 | Vanguard |
ベンチマーク | MSCI USA Consumer Staples IMI 25/50 Index |
市場 | NYSE ARCA |
経費率 | 0.10% |
構成銘柄数 | 105 |
VDCの主要構成銘柄は次のとおりです。
主要銘柄は安定感のある生活必需品や小売企業が占めています。
ティッカー | 会社名 | 構成比率 | Market value |
PG | Procter & Gamble Co.(プロクターアンドギャンブル) | 11.47% | $925,602,065 |
COST | Costco Wholesale Corp.(コストコ) | 10.89% | $878,531,406 |
WMT | Walmart Inc.(ウォルマート) | 8.77% | $707,902,166 |
KO | Coca-Cola Co.(コカ・コーラ) | 7.70% | $621,470,533 |
PEP | PepsiCo Inc.(ペプシコ) | 6.63% | $535,428,432 |
PM | Philip Morris International Inc.(フィリップモリス) | 5.19% | $418,756,308 |
MDLZ | Mondelez International Inc. Class A(モンデリーズ・インターナショナル) | 3.32% | $267,865,290 |
MO | Altria Group Inc.(アルトリア) | 3.14% | $253,094,648 |
CL | Colgate-Palmolive Co.(コルゲート・パルモリーブ) | 2.83% | $228,237,380 |
TGT | Target Corp.(ターゲット) | 2.46% | $198,745,156 |
※2024年7月31日時点の情報。
VDCのセクター構成は以下のとおりです。
生活必需品や小売の割合が高い構成比率となっています。
※2024年7月31日時点の情報。
VDCのチャートで見るパフォーマンスは?
VDCの設定日(2004年1月30日)以来チャートを見てみましょう。
2009年リーマンショック、2020年コロナショックによりコロナショックによりVDCも下落をしていきました。しかし、ディフェンシブ銘柄で構成されていることから、下落幅は小さく、いち早く回復しました。
創設当初は約50ドル、現在は約218ドルとなり、株価の成長にも期待できます。
日経平均株価と比較すると大きくパフォーマンス差が生まれていることがわかります。
VDCのメリット
VDCに投資するメリットは以下の点です。デメリットもありますがそのデメリットを上回るメリットがありますので、自信をもっておススメできます。
- 値動きに安定感がある
- 分散投資が可能
1.値動きに安定感がある
VDCは景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄で構成されていることから、ボラティリティが低く、長期的に安定感あるリターンが期待できます。
2.分散投資が可能
VDC1銘柄だけで約100社への分散投資を行えるので、1企業の業績が悪化した場合にも価格変動リスクを大幅に抑えられるでしょう。
企業選定や分析をVanguard社のプロに任せることができ、その間自分は好きなことに時間を使えることも大きなメリットです。
またVDCは米国大企業のディフェンシブ銘柄で構成されているため、「どの米国株に投資したらいいかわからない」という方にも適しています。
以上のメリットによりVDCは多数の投資家に支持されています。
VDCのデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 分配金の再投資が面倒
- 二重課税される。それを取り返すのが面倒
1.分配金の再投資が手間
長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。VDCから支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がVDCの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。
2.二重課税される。それを取り返すのが面倒
VDCは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。
以上が、VDCのデメリットとなります。
まとめ
- VDCはMSCI USA Consumer Staples IMI 25/50 Indexで構成されているETF。
- VDCには他の銘柄に負けないメリットがある。
- デメリットもある。
VDCを使ったポートフォリオ例
最後に、VGTを使った投資の一例を紹介していきます。
基本のVDC100%ポートフォリオ
特徴:VDCのみで構成される基本的なポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF) | 100 |
生活必需品&テクノロジーグロースポートフォリオ
特徴:安定した生活必需品セクターをベースにし、テクノロジーおよびイノベーション分野の高成長企業に投資して、高リターンを目指す。
構成ETF | 比率(%) |
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF) | 50 |
QQQ(Invesco QQQ Trust Series 1) | 30 |
ARKK(ARK Innovation ETF) | 20 |
生活必需品&新興市場アグレッシブポートフォリオ
特徴:定した生活必需品と新興市場および半導体の成長セクターを組み合わせ、リスクを取りながら高リターンを狙う。
構成ETF | 比率(%) |
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF) | 40 |
EEM(iShares MSCI Emerging Markets ETF) | 30 |
SOXL(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares) | 30 |
生活必需品&債券ディフェンシブポートフォリオ
特徴:生活必需品ETFを中心に、債券を組み合わせてローリスクの安定したリターンを目指す、非常に守備的なポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF) | 50 |
BND(Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 25 |
IEF(iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF) | 25 |
生活必需品&ヘルスケアアハイディフェンシブポートフォリオ
特徴:生活必需品に多く投資し、リスクを最小限に抑えながら、ヘルスケアと短期債券で安定性を強化する。
構成ETF | 構成比率(%) |
VDC(Vanguard Consumer Staples ETF) | 30 |
VHT(Vanguard Health Care Index Fund ETF) | 35 |
SHY(iShares 1-3 Year Treasury Bond ETF) | 35 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えません。
上記ポートフォリオ案が参考になれば幸甚です。
以上がVDCの紹介となります。次回もお付き合いいただけますと幸いです。