今回は情報技術セクターETF「VGT」を取り上げていきます。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- VGTはMSCI US Investable Market Information Technology指数に連動するように設計されているETF。
- デメリットもある。
- VGTを使ったポートフォリオ例もあるよ。
Vanguard社って何?
Vanguard社は「資産運用会社は投資家の皆さまの利益のためだけにファンドを運用すべきである」というアイデアに基づき設立された、世界最大級の運用会社です。
Vanguard社創設者ジョン・ボーグル氏は世界初個人向けインデックス・ファンドを設立した「インデックス・ファンドの父」として広く知られ、資産運用業界に最も貢献した人物の一人として、世界中の多くの投資家から尊敬されています。
Vanguard社が提供するETFに見られる共通点は「低コスト」です。
VOOやVTIの経費率は0.03%、VTの経費率は0.07%と驚異の低コストを実現させています。
この低コスト商品ですが、ヴァンガード社の以下の理念に基づいています。
- 目標:明確で適切な投資目標を定める
- バランス:バランスの取れた分散投資を行う
- コスト:コストを最小限にとどめる
- 規律:長期的な見通しや規律を維持する
以上の点からVanguard社が提供するETFは多くの投資家に利益をもたらし、支持を集めています。ついてはVanguard社のETFを知ることは皆さまの今後の利益になると考え、紹介していく次第となります。
VGTって何?
まずはVGTの特徴を見ていきます。
VGT(Vanguard Information Technology ETF)とは、Vanguard社が提供している「上場投資信託(ETF)」の一種です。
VGTは「MSCI US Investable Market Information Technology Index」に連動するように設計されているETFで、2004年1月30日に設定されました。
要するに「米国株の中でも情報技術セクターに投資するETF」という物です。
米国の情報技術セクター銘柄で構成され、テクノロジー・ソフトウェアおよびサービス、テクノロジー・ハードウェアおよび機器、半導体および半導体製造機器の3つの分野の企業で構成されています。
大型・中型・小型株を含み対象セクターを幅広くカバーしています。
VGTは年4回の決算(3月・6月・9月・12月)において分配金が支払われます。
利回りはおよそ0.6%です。
情報技術セクターのグロース銘柄で構成されているため、ほとんどが設備投資等に回り、配当は少なめです。後述しますが、この低い利回りをカバーするほどのリターンが期待できるのが強みとなっています。
VGTの基礎情報は次のとおりです。
ティッカー | VGT |
名称 | Vanguard Information Technology ETF |
運用会社 | Vanguard |
ベンチマーク | MSCI US Investable Market Information Technology Index |
市場 | NYSE ARCA |
経費率 | 0.10% |
構成銘柄数 | 313 |
VGTの主要構成銘柄は次のとおりです。
世界を代表する大企業が多く入っていることがわかります
313銘柄に投資していますが、主要銘柄は時価総額の大きいビッグテックが独占しています。
ティッカー | 会社名 | 構成比率 | Market value |
MSFT | Microsoft Corp.(マイクロソフト) | 17.28% | $12,758,625,975 |
AAPL | Apple Inc.(アップル) | 15.27% | $11,273,822,650 |
NVDA | NVIDIA Corp.(エヌビディア) | 11.89% | $8,780,762,230 |
AVGO | Broadcom Inc.(ブロードコム) | 4.40 % | $3,245,215,166 |
AVGO | Broadcom Inc.() | 2.69 % | $1,533,132,635 |
CRM | salesforce.com Inc.(セールスフォース) | 2.20 % | $1,473,955,522 |
AMD | Advanced Micro Devices Inc.(アドバンスドマイクロデバイセズ) | 1.96 % | $1,444,296,679 |
ADBE | Adobe Inc.(アドビ) | 1.60 % | $1,182,452,432 |
CSCO | Cisco Systems Inc.(シスコシステムズ) | 1.46 % | $1,078,763,075 |
ACN | Accenture plc Class A(アクセンチュア) | 1.44 % | $1,064,793,205 |
※2024年4月30日時点の情報。
VGTのセクター構成は以下のとおりです。
半導体やシステムソフトウェア割合が高い構成比率となっています。
※2024年4月30日時点の情報。
VGTのチャートで見るパフォーマンスは?
VGTの設定日(2004年1月30日)以来チャートを見てみましょう。
2009年リーマンショック、2020年コロナショックによりコロナショックによりVGTも大きく下落をしていきました。しかし、コロナショックから回復するためのアメリカの手厚い経済対策により、グロース企業はいち早く回復し、見事に持ち直しています。
創設当初は約50ドル、現在は約535ドルとなり、株価の成長にも期待できます。
VOOと比較すると大きくパフォーマンス差が生まれていることがわかります。
VGTのメリット
VGTに投資するメリットは以下4点です。デメリットもありますがそのデメリットを上回るメリットがありますので、自信をもっておススメできます。
- 高いリターンが期待できる
- 分散投資が可能
1.高いリターンが期待できる
VGTは半導体やIT企業等の売上高や利益などの成長率が高いグロース銘柄で構成されていることから、長期的に高いリターンが期待できます。
2.分散投資が可能
VGT1銘柄だけで約300社への分散投資を行えるので、1企業の業績が悪化した場合にも価格変動リスクを大幅に抑えられるでしょう。
企業選定や分析をVanguard社のプロに任せることができ、その間自分は好きなことに時間を使えることも大きなメリットです。
またVGTは米国大企業の株で構成されているため、「どの米国株に投資したらいいかわからない」という方にも適しています。
以上のメリットによりVGTは多数の投資家に支持されています。
VGTのデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 配当利回りは他の高配当ETFに比べると低め
- 情報技術セクターの株価が割高
- 分配金の再投資が面倒
- 二重課税される。それを取り返すのが面倒
1.配当利回りは他の高配当ETFに比べると低め
VGTは情報技術セクターのグロース銘柄で構成されていることもあり、配当金を出していない銘柄も多く含まれるため、分配金利回りは他のセクターと比べても低いです。
2.情報技術セクターの株価が割高
情報技術セクターは人気セクターであり、PERも高く、株価は常に割高水準です。株式市場が下落局面に入った時に他のセクターに比べて下落幅が大きくなるリスクは高いといえます。
3.分配金の再投資が手間
長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。VGTから支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がVGTの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。
4.二重課税される。それを取り返すのが面倒
VGTは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。
以上が、VGTのデメリットとなります。
まとめ
- VGTはMSCI US Investable Market Information Technology Indexで構成されているETF。
- VGTには他の銘柄に負けないメリットがある。
- デメリットもある。
VGTを使ったポートフォリオ例
最後に、VGTを使った投資の一例を紹介していきます。
基本のVGT100%ポートフォリオ
特徴:VGTのみで構成される基本的なポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VGT(Vanguard Information Technology ETF) | 100 |
テック&ボンドディフェンスポートフォリオ
特徴:テクノロジーセクターの成長性を取り入れつつ、債券と公益事業株を組み合わせて安定性を確保する。
構成ETF | 比率(%) |
VGT(Vanguard Information Technology ETF) | 50 |
AGG(iShares Core US Aggregate Bond ETF) | 30 |
VPU( Vanguard Utilities Index Fund ETF) | 20 |
セクターバランスポートフォリオ
特徴:情報技術セクターを中心に、異なるセクターにバランスをとり、ポートフォリオ全体のリスクを分散。
構成ETF | 比率(%) |
VGT(Vanguard Information Technology ETF) | 50 |
VHT(Vanguard Health Care Index Fund ETF) | 20 |
VFH(Vanguard Financials Index Fund ETF) | 20 |
VNQ(Vanguard Real Estate Index Fund ETF) | 10 |
テック&イノベーションアグレッシブポートフォリオ
特徴:テクノロジーセクターに加えて、イノベーションと成長性の高い企業に集中投資し、リターンを最大化する。
構成ETF | 比率(%) |
VGT(Vanguard Information Technology ETF) | 50 |
ARKK(ARK Innovation ETF) | 25 |
QQQ(Invesco QQQ Trust Series 1) | 25 |
テクノロジー&レバレッジアグレッシブポートフォリオ
特徴:テクノロジーセクターにレバレッジをかけてリターンを追求。
構成ETF | 構成比率(%) |
VGT(Vanguard Information Technology ETF) | 30 |
TECL(Direxion Daily Technology Bull 3X Shares ETF) | 35 |
SOXL(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares) | 35 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えません。
上記ポートフォリオ案が参考になれば幸甚です。
以上がVGTの紹介となります。次回もお付き合いいただけますと幸いです。