今回は巷で話題になっている「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」を取り上げていきます。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)はS&P500トップ10指数に連動するように設計されている投資信託
- Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)にはメリットが5点ある
- デメリットもある
- Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)を使った投資法の一例もあるよ
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)って何?
まずはTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の特徴を見ていきます。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の特徴は以下のとおりです。
- 世界をリードするS&P500の10銘柄にフォーカス
- 浮動株調整済時価総額加重平均方式を採用
- 毎年6月に構成銘柄見直しを実施し、年4回構成比率をリバランスする
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)とは、日興アセットマネジメント社が提供している投資信託で、2024年5月16日に設定されました。
S&P500トップ10指数ってどんな指数?
S&P500トップ10指数はS&P500構成指数のうち、時価総額上位10位の株式で構成されます。
同指数は浮動株調整後の時価総額を加重平均して求められます。
原則毎年6月に構成銘柄見直しを実施し、年4回構成比率の調整が行われます。
基礎情報
基礎情報は以下のとおりです。
名称 | Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) |
設定日 | 2024年5月16日 |
ベンチマーク | S&P500トップ10指数 |
信託報酬 | 0.10725% |
信託期間 | 無制限 |
新NISA | 成長投資枠可 |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の主要構成銘柄
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の構成銘柄は以下のとおりです。
ティッカー・銘柄名 | セクター | 構成比率 |
MSFT・Microsoft | ソフトウェア・サービス | 21.9% |
AAPL・Apple | テクノロジー | 18.8% |
NVDA・NVIDIA | 半導体 | 13.9% |
Amazon・AMZN | 一般消費財 | 11.4% |
META・META | テクノロジー | 7.7% |
GOOGL・AlphabetA | テクノロジー | 5.8% |
BRK・Berkshire Hathaway | 金融 | 5.3% |
GOOG・AlphabetC | テクノロジー | 5.0% |
TSLA・Tesla | 自動車 | 4.0% |
UNH・UnitedHealth | ヘルスケア | 3.2% |
※有価証券届出書参照
その他特化ファンドとの比較
FANG+と比較してみましょう。Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は時価総額加重平均方式や特化ファンドにしては比較的低い信託報酬が確認できます。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | iFreeNEXT FANG+インデックス | |
期間 | 無制限 | 無制限 |
信託報酬 | 0.10725% | 0.7755% |
組入比率 | 時価総額加重平均 | 均等平均 |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)のメリット
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)に投資するメリットは以下5点です。後ほどデメリットも記載しますが、メリットも負けていませんので、
「米国大企業の今後の成長を信じている人」、「リスクを取って成長性のみを追い求めたい人」、「あれこれ考えずアメリカの大企業のみに投資したい人」には一考の余地があると思います。
- 米国大企業やビッグテックで構成されるため成長が期待できる
- 不況時にいち早く業績や株価が回復する可能性がある
- あれこれ考えず当投資信託のみで米国大企業のみ10社に投資できる
- リバランス性に優れている
- 銘柄固定ではない
1.米国大企業やビッグテックで構成されるため成長が期待できる
当投資信託を構成する米国大企業やビッグテックは景気の影響を大きく受け、成長するときは大きく伸びます。特に最近の例で言うと半導体銘柄であるNVIDIAの成長が著しいことが挙げられます。
またビッグテック銘柄は無配の企業が多く、配当に回す分を技術投資へ回しています。それを基に新技術を開発し、飛躍を続けるため、今後も成長することが期待できます。
2.不況時にいち早く業績や株価が回復する可能性がある
米国大企業は財務健全性や市場競争力が高いと考えられます。好景気時には設備投資により利益や稼ぐ力を伸ばし、不況時にはレイオフや不採算事業を切り離すことで強靭化を図ります。
不況時に取れる選択肢が限られる中小企業よりも早く業績や株価回復する可能性があります。
3.あれこれ考えず当投資信託のみで米国大企業のみ10社に投資できる
当投資信託を持てば。米国大企業・ビッグテック10社に投資できてしまうことから、あれこれ考えたくない方にとっては非常に手軽な投資信託と言えます。
4.リバランス性に優れている
ベンチマークであるS&P500トップ10指数は上記の通り原則毎年6月に構成銘柄見直しを実施し、年4回構成比率のリバランスが行われることから、構成銘柄の組み換えによりパフォーマンスが改善する可能性があります。
5.銘柄固定ではない
FANG+やマグニフィセントセブンのように原則銘柄固定ではないため、伸びてきた分野の銘柄が採用される可能性があり、パフォーマンス向上に寄与します。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)のデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 景気により下落するときは大きく下げてしまう可能性がある
- 信託報酬が割高
- 分散が効かない
- 設定開始直後であり各種データが無く、出来高も少ないことが予想される
1.景気により下落するときは大きく下げてしまう可能性がある
メリットの裏返しになってしまうのですが、景気の影響を受ける米国大企業やビッグテックは不況時に大きく値を落としてしまいます。それゆえ、当投資信託は不況時には大きく値を下げてしまうことが予想されます。
2.信託報酬が割高
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の信託報酬率は、年0.10725%(税込)です。VOOやVTI等と比較するとやはり信託報酬が高いと言わざるを得ません。
3.分散が効かない
米国大企業やビッグテック10銘柄のみで構成されることから当然ながら分散が効いているとは言えません。
4.設定開始直後であり各種データが無く、出来高も少ないことが予想される
2024年5月16日に設定され、各種データが出揃っていないことから、様子見の投資家が多いことが予想されます。それに伴い、出来高が少なくなり、狙った価格帯での約定が困難になる可能性があります。
以上が、Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)のデメリットとなります。
まとめ
- Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は「S&P500トップ10指数」に連動するように設計されているETF。
- Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)には他の銘柄に負けないメリットがある。
- デメリットもある。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)を使ったポートフォリオ例
最後に、Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)を使った投資の一例を紹介していきます。
基本のTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)100%ポートフォリオ
特徴:Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)のみで構成される基本的なポートフォリオ。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | 100 |
SP500トップ10テクノロジーポートフォリオ
特徴:米国株式に焦点を当てつつ、テクノロジーおよびイノベーションセクターへの投資を強化し、高い成長性を追求する。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | 50 |
QQQ(Invesco QQQ Trust Series 1) | 25 |
VGT(Vanguard Information Technology Index Fund ETF) | 25 |
SP500トップ10ディフェンシブ・バランスポートフォリオ
特徴:米国株式への投資としてTracers S&P500トップ10インデックスを中心に据えつつ、連続増配株と債券を組み合わせ、ポートフォリオのリスクを抑えつつ成長性を確保する。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | 45 |
VIG(Vanguard Dividend Appreciation Index Fund ETF) | 30 |
BND(Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 25 |
SP500トップ10セクターバランスポートフォリオ
特徴:米国株式への投資を重視し、ディフェンシブセクターに重点を置く。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | 45 |
VHT(Vanguard Health Care Index Fund ETF) | 25 |
VDC(Vanguard Consumer Staples Index Fund ETF) | 15 |
VPU(Vanguard Utilities Index Fund ETF) | 15 |
SP500トップ10アグレッシブ・テクノロジーポートフォリオ
特徴:米国株式への投資を重視し、テクノロジーおよび半導体などの成長性の高いセクターに重点を置く。
構成 | 構成比率(%) |
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式) | 40 |
TECL(Direxion Daily Technology Bull 3X Shares ETF) | 30 |
SOXL(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares) | 30 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えません。
上記ポートフォリオ案が参考になれば幸甚です。
以上がTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)の紹介となります。まだあまり情報が無いため、わかり次第追記していきます。次回もお付き合いいただけますと幸いです。