高配当ETFで自分だけのマネーマシンを作ろう:SPYD

  • 2023年12月25日
  • 2024年5月1日
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ETF
 
キャシー
今回は高配当ETFとして有名な「SPYD」を取り上げていくよ!
 
ブルーム
VYMやHDV同様によく聞く高配当ETFだね
 
キャシー
細かな違いを確認していこう!

今回は高配当ETF「SPYD」を取り上げていきます。

 

概要

時間がない方向けの概要としては次の通りです。

 

  1. SPYDはS&P500高配当指数で構成されているETF。
  2. メリットが4点ある。
  3. デメリットもある。
  4. SPYDを使ったポートフォリオ例もあるよ。

SPYDって何?

まずはSPYDの特徴を見ていきます。

 

SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)とは、State Stree社が提供している「上場投資信託(ETF)」の一種です。
SPYDは「S&P500高配当指数」に連動するように設計されているETFで、2015年10月22日に設定されました。

 

S&P500高配当指数とは?

 
ブルーム
S&P500高配当指数ってなに?
S&P500高配当指数とは?
S&P500高配当指数とは、米国市場を代表する500社で構成されるS&P500のうち、特に配当利回りのパフォーマンスが高い80社で構成される株価指数です。配当率の高い企業が均等に近い割合で組み入れられています。

SPYDは年4回の決算(3・6・9・12月)において分配金が支払われます。

 

SPYDの基礎情報は次のとおりです。

ティッカー SPYD
名称 SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF
運用会社 State Street
ベンチマーク S&P 500 High Dividend Index
市場 NYSE ARCA
経費率 0.07%
構成銘柄数 77
※2023年11月24日時点の情報。


SPYDの主要構成銘柄は次のとおりです。

構成銘柄はS&P500採用銘柄のうち高配当銘柄80種を均等に組み入れており、年2回構成銘柄の組み換えが行われます。

ティッカー 会社名 構成比率
STX Seagate Technology Holdings(シーゲイト・テクノロジー) 1.82 %
NRG NRG Energy, Inc.(リライアント・エナジー) 1.73 %
PKG Packaging Corporation of America(パッケージング・コーポレーション・オブ・アメリカ) 1.66 %
PSX Phillips 66(フィリップス66) 1.65 %
AMGN Amgen Inc.(アムジェン) 1.56 %
IP International Paper Company.(インターナショナル・ペーパー) 1.56 %
IBM International Business Machines Corp.(アイビーエム) 1.55 %
VZ Verizon Communications Inc.(ベライゾン) 1.54 %
DLR Digital Realty Trust Inc.(デジタル・リアルティ) 1.54 %
T AT&T Inc.(AT&T) 1.51 %

※2023年11月30日時点の情報。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社HP参照。

 

SPYDのセクター比率は以下のとおりです。
安定した高配当を出すSPYDは公益事業や金融、不動産の割合が高く情報技術は約3%という低めな構成比率となっています。
金融、不動産セクターは景気の影響を受けやすいため、価格が変動しやすいETFとなります。

 

業種 組入比率
金融 22.86%
不動産 21.47%
公益事業 15.50%
素材 8.54%
エネルギー 7.12%
ヘルスケア 6.61%
生活必需品 5.98%
情報技術 3.40%
資本財・サービス 1.31%

 

※2023年11月30日時点の情報。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社HP参照。

 

 
キャシー
金融・不動産セクターが約45%を占めているんだ!

SPYDのチャートで見るパフォーマンスは?

 

SPYDの設定日(2015年10月22日)以来チャートを見てみましょう。

2020年コロナショックにより金融市場に大打撃を与え、金融や不動産セクターで構成されたSPYDも大きく下落をしていきました。しかし、その後回復し堅調な推移を見せています。

 

 

VYM・HDV・SPYDの3つを比較

 

高配当株を組み込んだ3つの高配当ETFを比較してみましょう。
いずれも配当率が高く、経費率も低めで、安定した収益が望める銘柄となっています。

中でもSPYDはS&P500の対象銘柄の中でも、高配当指数をベンチマークにしており、この3つの中では最も配当利回りが高いことが特徴です。

 
キャシー
それぞれ以下の特徴があるよ!
SPYD
→S&P500の対象銘柄の中から特に高配当の80銘柄を対象としているため、配当利回りは高め。
VYM
→構成銘柄数が多く分散効果が高い。経費率の低さもあり、安定した長期運用におすすめ。
HDV
→財務健全性の高い銘柄(財務優良企業)を集中して組み入れていることから、安全性と高い利回りを両立させる銘柄。
  VYM SPYD HDV
運用会社 Vanguard State Street Black Rock
ベンチマーク FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス S&P500高配当指数 モーニングスター配当フォーカス指数
構成銘柄数 452 77 75
経費率 0.06% 0.07% 0.08%
直近配当利回り 3.11% 4.79% 4.03%
基準価格 107.84 36.71 100.69
特徴 平均以上の配当利回りがある米国企業に広く分散して投資 S&P500採用銘柄で、配当利回りの高い77銘柄に投資 米国財務優良企業のうち、配当利回りの高い銘柄75銘柄に投資

SPYDのメリット

SPYDのそれぞれメリットを見ていきましょう。後ほどデメリットも記載しますが、そのデメリットを上回るメリットがありますので、高配当投資を目指す方には一考の余地があると思います。

 

  1. 配当利回りが高い
  2. 分配金が年4回もらえる
  3. 経費率が低い
  4. 分散投資が可能

 

1.配当利回りが高い

 

先述したように、ここ5年間は4%~5%の配当利回りを達成しています。
SPYDへ5,000万円投資し、配当利回りを5%と仮定した場合、5,000万円×0.05%÷12ヶ月≒21万円の配当がもらえる計算となります(税金を考慮せず)。月21万円あれば生活費を賄うことも不可能ではありません。

2.分配金が年4回もらえる

 

SPYDは、3月・6月・9月・12月の年4回配当金が受け取れます。
四半期毎に配当金が出るため、定期的にキャッシュを得たい方には非常に大きなメリットと言えます。
SPYDは保有しているだけで4~5%前後の配当金を得られるため、長期的な資産運用を目指している方にもおすすめできます。

分配金利回り
2022 4.72%
2021 4.70%
2020 4.16%
2019 5.13%
2018 4.32%
2017 4.08%
2016 5.17%

 

3.経費率が低い

 

経費率とはファンドの資産残高に対する、ファンドの運用などにかかる経費の比率のことです。当然ながらお財布から出ていくお金は少ない方がよく、SPYDの経費率は0.07%と脅威の低コストを実現させています。
先述のとおり、S&P500高配当銘柄80銘柄で構成されるSPYDを0.07%の経費率で買う事ができるのはほぼ反則技と言ってもいいくらいのコスパと言えます。

 

4.分散投資が可能

 

SPYD1銘柄だけで約80社への分散投資を行えるので、1企業の業績が悪化した場合にも価格変動リスクを大幅に抑えられるでしょう。
企業選定や分析をState Street社のプロに任せることができ、その間自分は好きなことに時間を使えることも大きなメリットです。
またSPYDは分散が効いているため、「どの米国株に投資したらいいかわからない」という方にも適しています。

SPYDのデメリット

次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。

 

  1. 景気の影響を大きく受ける
  2. 値上がりはあまり期待できないかも
  3. 分配金の再投資が面倒
  4. 二重課税される。それを取り返すのが面倒

 

1.景気の影響を大きく受ける

 

SPYDは金融や不動産セクターの銘柄を多く含んでいます。
先述のとおり、金融や不動産セクターは景気変動の影響を受けやすく、不況時に暴落する恐れがあります。
不況時には金融および不動産銘柄では以下の影響を受けます。

金融銘柄:各企業が設備投資や事業拡大のための投資などを控え、借り入れを減らし、金利が下がり、収益状況が悪化する。
不動産銘柄:不動産を買い控えることにより、在庫が増え、不動産価格が下落し、収益状況が悪化する。実際、コロナショック時には、テレワーク需要の拡大により、テナントの解約が相次ぎました。

 

業績が悪化することで、減配や無配となるリスクも出てきます。そうなると高い配当利回りというSPYDの魅力が薄れてしまいます。
財務健全性や分散をふまえて投資したい方は高配当ETFのVYMやHDVも検討するとよいかもしれません。

2.値上がりはあまり期待できないかも

 

SPYDは安定的に配当を出すことに重きをおいており、チャートで示したのとおり値上がりはほとんどありません。
NASDAQを対象としたQQQ、S&P500を対象としたVOO、米国株式市場全体を対象とするVTIといった銘柄に比べると値上がり率は低いため、キャピタルゲインを狙うなら他のETFへの投資が有効です。

 

3.分配金の再投資が手間

 

長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。SPYDから支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がSPYDの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。

 

4.二重課税される。それを取り返すのが面倒

 

SPYDは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。

 

以上が、SPYDのデメリットとなります。

 

まとめ

  1. SPYDはS&P500高配当指数で構成されているETF
  2. SPYDには他の銘柄に負けないメリットがある。
  3. デメリットもある

SPYDを使ったポートフォリオ例

最後に、SPYDを使った投資の一例を紹介していきます。

 

基本のSPYD100%ポートフォリオ

特徴:SPYDのみで構成される基本的なポートフォリオ。

構成ETF 比率(%)
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 100

 

 

バランス配当ポートフォリオ

特徴:全体的な分散化とリスクヘッジを目指す。バランスの取れた配分で、米国高配当株と世界の株式市場、債券市場への投資を組み合わせている。

構成ETF 比率(%)
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 40
VTI(Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF) 20
VT(Vanguard Total World Stock Index Fund ETF) 20
BND(Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) 20

 

セクターバランスポートフォリオ

特徴:高配当株をコアに、異なるセクターへの分散を通じてリスクを分散し、特に不動産、通信、産業、健康ケアに焦点を当てる。

構成ETF 比率(%)
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 20
VGT(Vanguard Information Technology Index Fund ETF) 20
VFH(Vanguard Financials Index Fund ETF) 20
VHT(Vanguard Health Care Index Fund ETF) 20
VNQ(Vanguard Real Estate Index Fund ETF) 20

 

 

高配当ポートフォリオ

特徴:高い配当利回りに焦点を当て、収益性を追求する

構成ETF 比率(%)
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 40
SDY(SPDR S&P Dividend ETF) 30
VIG(Vanguard Dividend Appreciation Index Fund ETF) 20
VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF) 10

 

リスクオフポートフォリオ

特徴:リスク回避を重視し、高配当株と安全資産(長期国債、金)を組み合わせて、安定性を追求

構成ETF 構成比率(%)
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 30
TLT(iShares 20 Plus Year Treasury Bond ETF) 30
GLD(SPDR Gold Shares) 20
SHY(iShares 1-3 Year Treasury Bond ETF) 20

 

 

 

人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えません。

上記ポートフォリオ案が参考になれば幸甚です。

 

以上がSPYDの紹介となります。次回もお付き合いいただけますと幸いです。