米国株民なら絶対知っておきたいド王道ETF:VTI

  • 2023年11月20日
  • 2024年5月1日
  • ETF
ETF
 
キャシー
今回は米国株を始めた方には絶対知ってもらいたい必修科目「VTI」を取り上げていくよ!
 
ブルーム
VOO同様に良く聞く名前だね
 
キャシー
そうだね。VOOと同じくらい人気でコスパが良い商品として知られているよ。一緒に見ていこう!

VTIもVOO同様、米国の資産運用会社「バンガード社」が提供するETF(上場投資信託)で、「成長を続ける米国株に投資したいが、どの銘柄に投資すればよいかわからない」という方に非常におススメです。

 

概要

時間がない方向けの概要としては次の通りです。

 

  1. VTIは米国市場のほぼ100%をカバーしている指数に連動するように設計されているETF。指値や成行注文が可能。
  2. VTIはほぼVOOと同じパフォーマンス?
  3. VTIとVOOの違いは?
  4. デメリットもある。
  5. 超初心者でもプロの投資家に勝てちゃうかも!?
  6. VTIを使ったポートフォリオ例もあるよ。

VTIって何?

まずはVTIの構成やETFは何ぞやという点を見ていきます。


VTIとはバンガード社が提供するETF(上場投資信託)で、正式名称は「バンガード・トータル・ストック・マーケット・ETF」です。米国株式市場で売買できる約4,000銘柄を対象とした株価指数「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」への連動を目指したETFであり、VTIを持つだけで米国株式市場全体に投資することができます。

 

VTIの基礎情報は次のとおりです。

ティッカー VTI
名称 Vanguard Total Stock Market ETF
運用会社 Vanguard
ベンチマーク CRSP US Total Market Index
市場 NYSE ARCA
経費率 0.03%
構成銘柄数 3,793
※2023年9月30日時点の数値。


VTIの主要構成銘柄は次のとおりです。

ティッカー 会社名 構成比率 Market value
AAPL Apple Inc.(アップル) 6.05 % $79,224,154,478
MSFT Microsoft Corp.(マイクロソフト) 5.58% $73,087,445,033
AMZM Amazon.com Inc.(アマゾン) 2.81 % $36,775,449,259
NVDA NVIDIA Corp.(エヌヴィディア) 2.43 % $31,798,518,923
GOOGL Alphabet Inc. Class A(アルファベットA) 1.85 % $24,191,821,115
TSLA Tesla Inc.(テスラ) 1.61% $21,031,098,595
META Facebook Inc. Class A(META) 1.59 % $20,786,108,398
GOOG Alphabet Inc. Class C(アルファベットC) 1.55 % $20,249,485,291
BRK.B Berkshire Hathaway Inc. Class B(バークシャーハサウェイ) 1.48 % $19,445,402,414
XOM Exxon Mobil Corp.(エクソンモービル) 1.12 % $14,665,567,976

※2023年9月30日時点の情報となります。

Vanguard公式HP参照。

 

セクター比率では30%以上技術セクターが占めており、VTIの成長を牽引しています。

VTIには約4,000銘柄が組み込まれており、米国株式市場全体に投資できるのが特徴です。「NYダウ」や「S&P500」といった大企業の株式のみで構成される指数とは異なり、幅広い業種や規模の企業への投資が可能です。

 

VTIはVOOとほぼ同じ?

結論、全くではありませんはほぼ同じような物と考えて良いと思います。そのため、VOOかVTIかどちらを買えばよいか迷った場合、「どちらも半分ずつ買う」もしくは「好きな方を買う」という考えが無難と感じます。
ほぼ同じですが、細かな点を理解するため違う点を挙げていきます。

①構成銘柄数が違う

VOOとVTIの一番大きな違う点は構成銘柄数です。
VOOはS&P500に連動するため約500銘柄から構成。
VTIは「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に連動するため約4,000銘柄から構成されます。
VOO:VTI=500:4,000すなわち約8倍もの構成銘柄数に差があります。
VOOの紹介でも述べましたが、SP500に採用されるためには基準があり、大企業が中心となります。一方VTIは中小企業も含まれるため、将来のハイパーグロースが含まれる可能性があり、その成長を取り逃さずに享受できる点があります。

②セクター比率

次にセクター比率を比較します。セクター区分の考え方が違うため若干の違いはありますが、構成セクターもほぼ同じです。上位5種を見てみましょう。

VTI
VOO
  • Technology:30.40%
  • ConsumerDiscretionary:14.10%
  • Industrials:12.80%
  • Health Care:12.50%
  • Financials:10.50%
  • InformationTechnology:28.10%
  • Health Care:13.20%
  • Financials:12.70%
  • ConsumerDiscretionary:10.60%
  • CommunicationServices:8.70%

③パフォーマンス

VTIとVOOのパフォーマンスを確認してみましょう。2つのETFにそこまで違いが無いことがわかります。

VTIの設定日(2001/5/31)以来チャートを見てみましょう。ご覧の通り、右肩上がりで成長していることがわかります。大型株や中小型株約4,000銘柄で構成されていますが、主要構成銘柄の上位は時価総額が大きい企業が占めているため、財務健全性が高く、コロナショックを経験しても早期に株価が回復しています。米国株を支えるハングリーな企業達の成長力回復力が大きな魅力と言えます。

 
キャシー
ちなみに、VOOは約500社だけに投資しているけど、その500社で米国市場の時価総額およそ80%をカバーしているから、VTIと値動きやリターンが似ているんだよ!

 

VTIのメリット

巷ではVOOかVTIを積立てる方が多いですが、その理由(メリット)は以下4点です。それぞれメリットを見ていきましょう。後ほどデメリットも記載しますが、そのデメリットを上回るメリットがありますので自信をもっておススメできます。

 

  1. 長期的に成長が期待できる
  2. 経費率が低い
  3. VOOと比較し、VTIの方が株価が安いため、買いやすい
  4. VOOよりも分散が効いている。中小型株にも投資できる。

 

1.長期的に成長が期待できる

 

長期的に成長が期待できるVTIは近年、パフォーマンスが非常に高く、価格は過去10年間でおよそ2倍となっており、リターンが十分に出ています。
また、レバレッジはかかっていないため値動きが大きくないので長期的な保有でゆっくりとリターンが得られます。
コロナ禍での下落も2019年の価格の近くで踏みとどまっており、底堅いETFと言われています。

2.経費率が低い

経費率とはファンドの資産残高に対する、ファンドの運用などにかかる経費の比率のことです。当然ながらお財布から出ていくお金は少ない方がよく、VTIの経費率は0.03%と脅威の低コストを実現させています。これはバンガード社は長年低コストの商品提供にこだわり続けているコスト意識に起因します。

 

3.VOOと比較し、VTIの方が株価が安いため、買いやすい

 

現在の価格を比較するとVOOは414.31、VTIは223.11であり、VOOよりか安いため買いやすいことが言えます。

VOO株価
VTI株価
  • 414.31
  • 223.11

※2023年11月18日時点の株価。

 

4.VOOよりも分散が効いている。中小型株にも投資できる

VOO同様分散投資をしてリスクを低くした運用をすることが理想的です。金融庁もリスクを減らす方法の一つに分散投資をあげており、米国約4,000社に投資するVTIはリスク分散がされていると言えます。また、これからハイパーグロースとして成長していく可能性を持つ中小型株も投資対象としていることも魅力の一つです。例えば、S&P500に連動するVOOは米国大企業をメインとした構成銘柄であり、中小企業の恩恵を受けにくいとされます。
一方、VTIの構成銘柄は中小型株を多く含んでいるので、その中から「GAFAM」を超えるユニコーン企業や、大企業が誕生する可能性があります。
伸びしろのある中小型株のリターンを受けられることもVTIのメリットです。

 

以上のメリットによりVTIは多数の投資家に支持されています。

VTIのデメリット

次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。

 

  1. 米国株式市場への一極集中リスクがある
  2. 少額投資では成果が出にくい
  3. 分配金の再投資が面倒
  4. 二重課税される。それを取り返すのが面倒

 

1.米国株式市場への一極集中リスクがある

VTIは米国の株式市場に連動しているため、米国経済および米国株式市場のパフォーマンスに非常に依存しています。米国外の成長や地政学的なリスクに対する保護が限られています。

2.少額投資では成果が出にくい

 

VTIは米国企業約4,000社に投資するため、価格の変動は小さいです。そのため、少額の投資資金で短時間でリターンを求める投資家には向いていないと言えます。

 

3.分配金の再投資が手間

 

長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。VTIから年4回(3月末・6月末・9月末・12月末)支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がVTIの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。

 

4.二重課税される。それを取り返すのが面倒

 

VTIは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。

 

以上が、VTIのデメリットとなります。

VTIを持っているだけでプロの投資家に勝てちゃうかも!?

次にVTIを買うだけでプロの投資家に勝ててしまうかもしれない点に触れていきます。VTIは先述した4点のメリットの他に、配当があること及び増配することが挙げられます。
VTIは年4回分配金を配当として株主に還元します。また、2013年に分配金が約1.67ドルだったものが、2022年には約3.18ドルにまでなっており、増配もしていることがわかります。

2013年分配金
2022年分配金
  • 1.67$
  • 3.18$

そのため、VTIを買うだけで、キャピタルゲイン+配当+増配+分散という一石四鳥の投資戦略となることが言えます。プロの投資家の9割が市場平均に負けると言われる中、VTIはプロの成績を上回るパフォーマンスを出しています。

 

まとめ

  1. VTIは全米株式で構成されているETF。指値や成行注文が可能。
  2. VTIには他の銘柄に負けないメリットが4点ある。
  3. デメリットもある。
  4. 超初心者でもプロの投資家に勝てちゃうかも!?

VTIを使ったポートフォリオ例

最後に、VTIを使った投資の一例を紹介していきます。

 

基本の全米株式100%ポートフォリオ

特徴:VTI一本で米国の全株式市場に分散投資。幅広い企業に投資し、市場全体の動向に連動。

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 100

 

分散成長ポートフォリオ

特徴:全米市場への広範な分散と、成長性の高い技術株およびゲノム関連企業への重点的投資

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 50
QQQ (Invesco QQQ Trust Series 1) 25
ARKG(ARK Genomic Revolution ETF) 25

 

インデックスファクターポートフォリオ

特徴:株式のファクター(価値、成長)に基づいて分散したポートフォリオ。

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 40
VTV (Vanguard Value Index Fund ETF) 20
VOE (Vanguard Mid-Cap Value Index Fund ETF) 20
VUG (Vanguard Growth Index Fund ETF) 20

 

 

高配当ポートフォリオ

特徴: 高配当銘柄に焦点を当てたポートフォリオで、安定的な収益を目指す。

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 40
VYM (Vanguard High Dividend Yield ETF) 30
SPYD (SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF) 30

 

リタイアメントポートフォリオ

特徴: 株式と債券、国際的な分散を組み合わせたリタイアメント向けのポートフォリオ。

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 60
BND (Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) 20
VXUS (Vanguard Total International Stock Index Fund ETF) 10
BNDX (Vanguard Total International Bond Index Fund ETF) 10

 

 

成長中小型株ポートフォリオ

特徴: 成長が期待される中小型企業に焦点を当てたポートフォリオ。

構成ETF 比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 50
VB (Vanguard Small-Cap Index Fund ETF) 25
IJR (iShares Core S&P Small-Cap ETF) 25

 

ESG(環境・社会的・ガバナンス)重視ポートフォリオ

特徴: 環境、社会、ガバナンスの観点から選ばれた企業に投資するESGポートフォリオ。

構成ETF 構成比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 60
ESGV (Vanguard ESG US Stock ETF) 20
SUSA (iShares MSCI USA ESG Select ETF) 10
CRBN (iShares MSCI ACWI Low Carbon Target ETF) 10

 

 

テクノロジー重視ポートフォリオ

特徴: テクノロジーセクターに特化した成長を重視したポートフォリオ。

構成ETF 構成比率(%)
VTI (Vanguard Total Stock Market ETF) 40
QQQ (Invesco QQQ Trust Series 1) 30
VGT (Vanguard Total International Bond Index Fund ETF) 30

 

健康関連企業ポートフォリオ

特徴: 健康ケアおよびバイオテクノロジー企業へ投資するポートフォリオ。

構成ETF 構成比率(%)
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) 60
VHT (Vanguard Health Care Index Fund ETF) 20
IBB (iShares Biotechnology ETF) 20

 

 

人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えませんが、株初心者なら、持ってるだけでプロに勝てる可能性があり、維持が楽チンで、積立てるだけで良いVTI等のインデックス銘柄のみでで良いと感じます。

 

以上がVTIの紹介となります。簡単でパフォーマンスが出て、リスクもある程度分散されているVTIは全投資家に知ってもらいたいです。次回もお付き合いいただけますと幸いです。