VOOとは、米国の資産運用会社「バンガード社」が提供するETF(上場投資信託)で、「成長を続ける米国株に投資したいが、どの銘柄に投資すればよいかわからない」という方に非常におススメです。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- VOOはSP500で構成されているETF。指値や成行注文が可能。
- VOOには他の銘柄に負けないメリットが4点ある。
- デメリットもある。
- 投資の神様ウォーレン・バフェットもSP500推し!?
- 超初心者でもプロの投資家に勝てちゃうかも!?
- VOOを使ったポートフォリオ例もあるよ。
VOOって何?
まずはVOOの構成やETFは何ぞやという点を見ていきます。
VOOとはバンガード社が提供するETF(上場投資信託)で、正式名称は「バンガード・S&P500ETF」です。米国の代表的な企業500社の株価を指数化している「S&P500」に連動するETFです。上場投資信託(ETF)とは一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のことで、指値や成行注文が可能です。
VOOの基礎情報は次のとおりです。
ティッカー | VOO |
名称 | VANGUARD S&P 500 ETF |
運用会社 | Vanguard |
ベンチマーク | S&P 500 Index |
市場 | NYSE ARCA |
経費率 | 0.03% |
構成銘柄数 | 505 |
総資産額 | 60.243B |
VOOの主要構成銘柄は次のとおりです。
ティッカー | 会社名 | 構成比率 | Market value |
AAPL | Apple Inc.(アップル) | 6.96 % | $60,473,052,597 |
MSFT | Microsoft Corp.(マイクロソフト) | 6.49 % | $56,382,942,304 |
AMZM | Amazon.com Inc.(アマゾン) | 3.19 % | $27,740,318,478 |
NVDA | NVIDIA Corp.(エヌヴィディア) | 2.97 % | $25,822,967,335 |
GOOGL | Alphabet Inc. Class A(アルファベットA) | 2.15 % | $18,659,461,793 |
TSLA | Tesla Inc.(テスラ) | 1.91 % | $16,606,619,226 |
META | Facebook Inc. Class A(META) | 1.85 % | $16,036,612,376 |
GOOG | Alphabet Inc. Class C(アルファベットC) | 1.84 % | $15,993,576,273 |
BRK.B | Berkshire Hathaway Inc. Class B(バークシャーハサウェイ) | 1.77 % | $15,353,994,396 |
XOM | Exxon Mobil Corp.(エクソンモービル) | 1.30 % | $11,312,461,396 |
※2023年9月30日時点の情報となります。
セクター比率では27%以上を情報技術セクターが占めており、VOOの成長を牽引しています。
SP500に組み込まれる条件は次のとおりで、世界を代表する米国の大型株がS&P500指数に組み込まれていることが分かります。
・米国企業であること
・時価総額が131億ドル以上であること
・四半期連続で黒字利益を維持していること
・一定の流動性があり、浮動株が発行済み株式総数の50%以上あること
VOOの設定日(2010/9/9)以来チャートを見てみましょう。ご覧の通り、右肩上がりで成長していることがわかります。大型株で構成されているため、コロナショックを経験しても早期に株価が回復しています。米国株を支える大企業の成長力と回復力が大きな魅力と言えます。
日経平均株価とも比較すると、VOOの方がパフォーマンスにおいて優れていることがわかります。
VOOのメリット
巷ではVOOかVTIを積立てる方が多いですが、その理由(メリット)は以下4点です。それぞれメリットを見ていきましょう。後ほどデメリットも記載しますが、そのデメリットを上回るメリットがありますので自信をもっておススメできます。
- 長期的に成長が期待できる
- 500社に分散投資ができる
- 米国大型企業に集中投資ができる
- 経費率が低い
1.長期的に成長が期待できる
長期的に成長が期待できるVOOは近年、パフォーマンスが非常に高く、価格は過去10年間でおよそ4倍となっており、リターンが十分に出ています。
また、レバレッジはかかっていないため値動きが大きくないので長期的な保有でゆっくりとリターンが得られます。
コロナ禍での下落も2019年の価格の近くで踏みとどまっており、底堅いETFと言われています。
2.500社に分散投資ができる
投資をする際は、分散投資をしてリスクを低くした運用をすることが理想的です。金融庁もリスクを減らす方法の一つに分散投資をあげており、米国を代表する企業500社に投資するVOOはリスク分散されていると言えます。卵を一つのかごに盛るな(Don’t put all eggs in one basket)は大事な投資の金言ですね。
3.米国大型企業に集中投資ができる
SP500は、代表的な米国の大型企業が中心です。安定した大型企業であれば業績や財務状況がが中小型の銘柄に比べて安定しています。そのため、1つのETFでお手軽に米国の安定的な大企業500社それぞれに投資ができることはもはや奇跡といえます。
4.経費率が低い
経費率とはファンドの資産残高に対する、ファンドの運用などにかかる経費の比率のことです。当然ながらお財布から出ていくお金は少ない方がよく、VOOの経費率は0.03%と脅威の低コストを実現させています。これはバンガード社は長年低コストの商品提供にこだわり続けているコスト意識に起因します。
以上のメリットによりVOOは多数の投資家に支持されています。
VOOのデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 米国株式市場への一極集中リスクがある
- 中小型株は投資対象に含まれない
- 少額投資では成果が出にくい
- 分配金の再投資が面倒
- 二重課税される。それを取り返すのが面倒
1.米国株式市場への一極集中リスクがある
VOOは米国のSP500に連動しているため、米国経済および米国株式市場のパフォーマンスに非常に依存しています。米国外の成長や地政学的なリスクに対する保護が限られています。
2.中小型株は投資対象に含まれない
VOOの投資対象になっているのは米国を代表する主要企業500社であり、中小型株は投資対象に含まれていません。そのため、中小型株の爆発力も拾いたい方にはCRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動するVTIに投資するのが良いかもしれません。
3.少額投資では成果が出にくい
VOOは米国の安定的な大企業500社に投資するため、価格の変動は小さいです。そのため、少額の投資資金で短時間でリターンを求める投資家には向いていないと言えます。
4.分配金の再投資が手間
長期投資では分配金を再投資して元本に組み入れ、複利効果を享受するのがセオリーですが、ETFは投資信託と異なり、自動で再投資することができません。VOOから支払われた分配金を再投資するには自分で買付を行わなければならないため、手間がかかります。また、1回で受け取る分配金がVOOの1口分に満たなければ、分配金をそのまま再投資に回すことはできません。資金繰りやドル転のタイミングなども考慮しなくてはならないため、投資信託と比べ手間が多く発生します。長期投資を行うにあたって分配金を自動で再投資したい方は投資信託を活用することをおすすめします。
5.二重課税される。それを取り返すのが面倒
VOOは米国ETFであるため、米国と日本でそれぞれ課税される「二重課税」の問題が起こります。米国ETFの分配金は米国で10%の税率で源泉徴収された後、残り90%に対して日本国内で20.315%の課税がなされます。
この二重課税を解消する方法として外国税額控除の仕組みが用意されていますが、控除を受けるためには自分で確定申告をしなければなりません。この確定申告が非常に面倒なため、取り返すのがおっくうになります。
以上が、VOOのデメリットとなります。
投資の神様ウォーレン・バフェットもVOO推し!?
投資の神様ウォーレン・バフェットは妻へ低コストのS&P500指数インデックスファンドに継続的に投資するようアドバイスしています。生けるレジェンド投資家、ウォーレン・バフェットが妻にアドバイスするのはリアリティがありますね。
VOOを持っているだけでプロの投資家に勝てちゃうかも!?
次にVOOを買うだけでプロの投資家に勝ててしまうかもしれない点に触れていきます。VOOは先述した4点のメリットの他に、配当があること及び増配することが挙げられます。
VOOは年4回分配金を配当として株主に還元します。また、2013年に分配金が約2ドルだったものが、2021年には約5.5ドルにまでなっており、増配もしていることがわかります。
そのため、VOOを買うだけで、キャピタルゲイン+配当+増配+分散という一石四鳥の投資戦略となることが言えます。プロの投資家の9割が市場平均に負けると言われる中、VOOはプロの成績を上回るパフォーマンスを出しています。
まとめ
- VOOはSP500で構成されているETF。指値や成行注文が可能。
- VOOには他の銘柄に負けないメリットが4点ある。
- デメリットもある。
- 投資の神様ウォーレン・バフェットもSP500推し!?
- 超初心者でもプロの投資家に勝てちゃうかも!?
VOOを使ったポートフォリオ例
最後に、VOOを使った投資の一例を紹介していきます。
基本のSP500・100%ポートフォリオ
特徴:SP500指数に連動するVOOで構成される基本的なポートフォリオ。主要な米国企業に広く分散して投資。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 100 |
分散バランスポートフォリオ
特徴:米国株式、国際株式、債券に分散投資してリスクを分散。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 50 |
VTI (Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF) | 20 |
VXUS (Vanguard Total International Stock Index Fund ETF) | 15 |
BND (Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 15 |
成長テクノロジーポートフォリオ
特徴:テクノロジーセクターに特化した成長を重視したポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 50 |
QQQ (Invesco QQQ Trust Series 1 – 技術株に焦点) | 25 |
VGT (Vanguard Information Technology Index Fund ETF – ITセクターに焦点) | 20 |
ARKK (ARK Innovation ETF – 革新的技術企業に焦点) | 5 |
安定的なインカムポートフォリオ
特徴: 配当を重視し、安定した収入を得ることを目指したポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 50 |
VYM (Vanguard High Dividend Yield ETF) | 20 |
VNQ (Vanguard Real Estate Index Fund ETF) | 20 |
BND (Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 10 |
ESG(環境・社会的・ガバナンス)重視ポートフォリオ
特徴: 環境、社会、ガバナンスの観点から選ばれた企業に投資するESGポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 70 |
ESGV (Vanguard ESG US Stock ETF) | 15 |
SUSA (iShares MSCI USA ESG Select ETF) | 10 |
CRBN (iShares MSCI ACWI Low Carbon Target ETF) | 5 |
成長中小型株ポートフォリオ
特徴: 成長が期待される中小型企業に焦点を当てたポートフォリオ。
構成ETF | 比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 50 |
VB (Vanguard Small-Cap Index Fund ETF) | 25 |
IJR (iShares Core S&P Small-Cap ETF) | 25 |
リバランス戦略ポートフォリオ
特徴: 定期的にポートフォリオを見直し、バランスを維持するために様々なセクターに分散。
構成ETF | 構成比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 60 |
VIG (Vanguard Dividend Appreciation Index Fund ETF) | 20 |
VDE (Vanguard Energy Index Fund ETF) | 10 |
VCR (Vanguard Consumer Discretionary Index Fund ETF) | 10 |
リタイアメントポートフォリオ
特徴: 株式と債券、国際的な分散を組み合わせたリタイアメント向けのポートフォリオ。
構成ETF | 構成比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 60 |
BND (Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 20 |
VXUS (Vanguard Total International Stock Index Fund ETF) | 10 |
BNDX (Vanguard Total International Bond Index Fund ETF) | 10 |
健康関連企業ポートフォリオ
特徴: 健康ケアおよびバイオテクノロジー企業へ投資するポートフォリオ。
構成ETF | 構成比率(%) |
VOO (Vanguard 500 Index Fund ETF) | 60 |
VHT (Vanguard Health Care Index Fund ETF) | 20 |
IBB (iShares Biotechnology ETF – バイオテクノロジー企業に焦点) | 20 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えませんが、株初心者なら、持ってるだけでプロに勝てる可能性があり、維持が楽チンで、積立てるだけで良いVOO等のインデックス銘柄のみでで良いと感じます。
以上がVOOの紹介となります。簡単でパフォーマンスが出て、リスクもある程度分散されているVOOは全投資家に知ってもらいたいです。次回もお付き合いいただけますと幸いです。