今回は巷で話題になっている「Tracers S&P500ゴールドプラス」を取り上げていきます。
概要
時間がない方向けの概要としては次の通りです。
- Tracers S&P500ゴールドプラスはS&P500とゴールドに100%ずつ投資するように設計されている投資信託
- Tracers S&P500ゴールドプラスにはメリットが3点ある
- デメリットもある
- Tracers S&P500ゴールドプラスを使った投資法の一例もあるよ
Tracers S&P500ゴールドプラスって何?
まずはTracers S&P500ゴールドプラスの特徴を見ていきます。
Tracers S&P500ゴールドプラスの特徴は以下のとおりです。
- レバレッジをかけて、S&P500とゴールドに100%ずつ投資する
- SP500とゴールドでリスクを分散させる
Tracers S&P500ゴールドプラスは、日興アセットマネジメント社が提供している投資信託で、2022年8月31日に設定されました。
米国株式(S&P500)と金(ゴールド)を主要投資対象とし、先物取引を積極的に活用して、純資産総額の200%相当額(S&P500 100%+金100%)の投資を行ない、運用効率向上と下落抑制効果を目指します。
S&P500ってなに?
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数。米国の主要産業を代表する500社の株式で構成されています。
S&P500に組み込まれる条件は次のとおりです。
・米国企業であること
・時価総額が131億ドル以上であること
・四半期連続で黒字利益を維持していること
・一定の流動性があり、浮動株が発行済み株式総数の50%以上あること
金(ゴールド)とは?
安定資産として名高く、「有事の金」とも呼ばれます。
有事とは、戦争や大規模災害などの非常事態のことを指します。
「有事の金」という言葉は、1970年代に生まれたとされ、アメリカとソ連の冷戦時に、戦争による株価暴落などを恐れ、価値がゼロになる心配のない金(ゴールド)へ投資する動きが加速しました。その結果、有事の際は資産の逃避先として金を買うという意識が広まり、有事の金という言葉が定着していきました。
基礎情報
基礎情報は以下のとおりです。
名称 | Tracers S&P500ゴールドプラス |
設定日 | 2022年8月31日 |
ベンチマーク | S&P500+金先物 |
信託報酬 | 0.1991% |
信託期間 | 無制限 |
新NISA | 不可 |
Tracers S&P500ゴールドプラスのメリット
Tracers S&P500ゴールドプラスに投資するメリットは以下3点です。後ほどデメリットも記載しますが、メリットも負けていませんので、
「米国大企業の今後の成長を信じている人」、「あれこれ考えずSP500とゴールドに投資したい人」には一考の余地があると思います。
- 米国大企業やビッグテックとゴールドの組み合わせにより成長が期待できる
- 不況時にいち早く業績や株価が回復する可能性がある
- あれこれ考えず当投資信託のみで米国大企業とゴールドに投資できる
1.米国大企業やビッグテックとゴールドの組み合わせにより成長が期待できる
当投資信託を構成する米国大企業やビッグテックは景気の影響を大きく受け、成長するときは大きく伸びます。特に最近の例で言うと半導体銘柄であるNVIDIAの成長が著しいことが挙げられます。
またビッグテック銘柄は無配の企業が多く、配当に回す分を技術投資へ回しています。それを基に新技術を開発し、飛躍を続けるため、今後も成長することが期待できます。
また、有事の金といわれるゴールドについても、景気後退懸念の高まりを背景とした投資家のリスク回避姿勢により価格が上昇しました。
大企業から構成されるSP500と有事の金(ゴールド)の力が組み合わさり、Tracers S&P500ゴールドプラスの成績には目を見張るものがあります。
以下、SP500とゴールド、Tracers S&P500ゴールドプラスの比較表となります。
※Tracers S&P500ゴールドプラスマンスリーレポート参照
2.不況時にいち早く業績や株価が回復する可能性がある
米国大企業は財務健全性や市場競争力が高いと考えられます。好景気時には積極的な設備投資や買収により利益や稼ぐ力を伸ばし、不況時にはレイオフや不採算事業を切り離すことで強靭化を図ります。
不況時に取れる選択肢が限られる中小企業よりも早く業績や株価回復する可能性があります。
また、有事の金は特に非常事態時において株式と異なる値動きをする傾向があり、分散のペアとして相性が良いです。
米国大企業のたくましさと有事の金を組み合わせることにより、Tracers S&P500ゴールドプラスは不況時には暴落耐性があり、回復能力もあることが考えられます。
以下、SP500とゴールドの値動きのグラフとなります。
※Tracers S&P500ゴールドプラスマンスリーレポート参照
3.あれこれ考えず当投資信託のみで米国大企業やゴールドに投資できる
当投資信託を持てば、米国大企業・ビッグテックやゴールドに投資できてしまうことから、あれこれ考えたくない方にとっては非常に手軽な投資信託と言えます。
Tracers S&P500ゴールドプラスのデメリット
次にデメリットを見ていきます。デメリットは次の4点です。
- 未曾有の非常事態時には株式もゴールドも下げる可能性がある
- レバレッジをかけている
- 各種データが出揃わず、出来高が少ない可能性がある
1.未曾有の非常事態時には株式もゴールドも下げる可能性がある
メリットの裏返しになってしまうのですが、景気の影響を受ける米国大企業やビッグテックは不況時に大きく値を落としてしまいます。それゆえ、当投資信託は不況時には大きく値を下げてしまうことが予想されます。
また、未曾有の非常事態が発生し、SP500だけでなく、ゴールドも投げ売られる状況になった場合には、下がることが予想されます。
2.レバレッジをかけている
投資家の中には現物のみで勝負し、レバレッジは一切かけたくない信条の方がいます。Tracers S&P500ゴールドプラスはレバレッジをかけることで運用の効率化や分散効果を図っていますが、レバレッジが嫌な人には向いていません。
3.各種データが出揃わず、出来高が少ない可能性がある
2022年8月31日に設定され、各種データが出揃っていないことから、様子見の投資家が多いことが予想されます。それに伴い、出来高が少ない可能性があります。
以上が、Tracers S&P500ゴールドプラスのデメリットとなります。
まとめ
- Tracers S&P500ゴールドプラスはレバレッジを効かせS&P500 100%+金100%に投資するように設計された投資信託。
- Tracers S&P500ゴールドプラスには他の銘柄に負けないメリットがある。
- デメリットもある。
Tracers S&P500ゴールドプラスを使ったポートフォリオ例
最後に、Tracers S&P500ゴールドプラスを使った投資の一例を紹介していきます。
基本のTracers S&P500ゴールドプラス100%ポートフォリオ
特徴:Tracers S&P500ゴールドプラスのみで構成される基本的なポートフォリオ。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500ゴールドプラス | 100 |
S&P500ゴールド&ボンドディフェンスポートフォリオ
特徴:ゴールドの防御力と債券および公益事業株の安定性を組み合わせ、ポートフォリオのリスクを軽減する。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500ゴールドプラス | 50 |
AGG(iShares Core US Aggregate Bond ETF) | 30 |
XLU(Utilities Select Sector SPDR Fund) | 20 |
S&P500ゴールド&ディフェンシブバランスポートフォリオ
特徴:ゴールドとS&P500株の組み合わせに加え、連続増配株と債券の安定性を加え、リスクを抑えつつ成長性を確保する。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500ゴールドプラス | 45 |
VIG(Vanguard Dividend Appreciation Index Fund ETF) | 30 |
BND(Vanguard Total Bond Market Index Fund ETF) | 25 |
S&P500ゴールド&テックアグレッシブポートフォリオ
特徴:ゴールドの防御力を活かしつつ、テクノロジーおよびイノベーションセクターへの投資を強化し、高いリターンを追求する。
構成 | 比率(%) |
Tracers S&P500ゴールドプラス | 50 |
QQQ(Invesco QQQ Trust, Series 1) | 30 |
TECL(Direxion Daily Technology Bull 3X Shares ETF) | 20 |
S&P500ゴールド&半導体アグレッシブポートフォリオ
特徴:ゴールドとS&P500株に加え、半導体セクターへの投資を強化し、成長性の高いポートフォリオを構築する。
構成 | 構成比率(%) |
Tracers S&P500ゴールドプラス | 40 |
SOXL(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares) | 40 |
SMH(VanEck Semiconductor ETF) | 20 |
人により取れるリスクは異なりますので、どの投資戦略が良いかは一概に言えません。
上記ポートフォリオ案が参考になれば幸甚です。
以上がTTracers S&P500ゴールドプラス)の紹介となります。まだあまり情報が無いため、わかり次第追記していきます。次回もお付き合いいただけますと幸いです。